ヴァンガードZEROにブシロードの調整力を見た

黙ってプレイして黙ってアンインストールする予定だったのだが、1年近く待たせただけあって、思いの外ゲームバランスの調整がすごかったので書いてしまう。

 

そもそもヴァンガードZEROとは

 

https://vgzero.bushimo.jp/


TCGであるヴァンガードをアプリに落とし込んだもの。ヴァンガード自体は運の要素が比較的高いゲームシステムが特徴で、遊びやすく昨今のポケカバブルのような人気が当時はあった。(現在も国内産TCGの中ではデュエマ、遊戯王ポケカの次くらいには人気)
またこのアプリはDCGだがシャドウバースというよりは遊戯王デュエルリンクスのほうが近いゲームだと思って欲しい。

 

実際の紙のルールと比較すると簡略化されていたり、変更点があるのだが、順を追って説明していく。

 

 

ガードが無い


・手札からガードを投げられない そもそもガード値という概念が無い

一番批判されている部分だと思う。私も最初はこのゲーム大丈夫かと思った。ベータを触った途中までは。
私がヴァンガードで最も難しいなと思うのがガードだ。

このアタックのパワーは20000だが、次のリアガードのアタックはどのくらいの数値になるのか。
トリガーが出たらどうなる?もし2枚出たら?
そしてそれを全て防ぐとしたらどのくらいのガード値がいる?
受けてトリガーに期待したほうが勝率が上がるのではないか。
次のターンカウンターブラストを使いたいがここで守ってしまうと使えずきれいに動けないのでは。
このカードはガード値的に最も適しているが後々使いたいカードでは?


下手なのもあるのだが、手札が10枚超えたりする事もあるゲームで適切なガードを考えるのは難しくてまじで時間がかかるのだ。

これをアプリで1ターンで3回殴るとしてその際にいちいち10-20秒待たされる事を考えてみて欲しい。
もちろんはやいプレイヤーもいるだろう。3秒くらいのレスポンスでテンポ良く3パン出来る事もあるだろう。
だが遅いプレイヤーと当たったら? 3秒くらいのレスポンスがいる中で30秒かかるやつと当たったら絶対いらつかないだろうか。
30秒xパンチ数だ。俺はそんなゲームやりたくない。
だからガードを廃止したのは英断と言わざるを得ない。

 

ガードの代わり


手札からのガードの代わりとしてグレード2によるインターセプトがある。
紙のほうでもインターセプトという概念は存在するが、こちらはG2が前列にいる時にVを殴る事は出来ない、実質完全ガード扱いだ。
これがかなり肝でトリガーをめくる事も大事だが、G2を毎ターン場に2体出す事が出来るかが重要だ。

また、完全ガードも強化された。
手札コストは無く、後出しが可能な完全ガード、究極ガードだ。
自動発動で、自分が死ぬ時もしくは、クリティカルが乗って自分のダメージが5点になる時に自動発動する。

そう、クリティカルをめくったもん勝ちだったはずのヴァンガードなのだが、このゲームのクリティカルはそんなに強くないのだ。
1-2点の時にめくるクリティカルはやはりめちゃくちゃ強い。
だが、3点以降のクリティカルは全て後出しの完全ガードによって防がれてしまう。

しかもこのクリティカル、横に振れず絶対にVに乗る仕様なのだ。
これも叩かれてはいるのだが、同じ理由でテンポの向上だ。
当時のクリティカルゲーがそんなに面白いとも思えなかったので私はこの変更にとても満足している。

とはいえ手札からのガード手段が無いのであれば1ターン目から殴りまくれば一瞬で勝つのでは…?
そう私も最初は思ったが、そこまで簡単では無かった。
紙のほうでは殴られた側はトリガーが発動しない限りVのパワーが上昇する事は無かったが、ヴァンガードZEROは1ダメージにつき5000上昇、更にトリガーが乗れば+5000上昇だ。

中途半端なパワーではVに2回殴るのがせいぜいでVに3パンはかなり難しい。
しかもこのゲーム、紙に比べてヒールトリガーの発動率が高いのだ。
紙のほうは16/49がトリガー、ZEROは13/39がトリガーだ。
トリガー率はそこまで差が無いのだが、どちらもヒールトリガーは最大4枚まで積めるので紙は4/49がヒールトリガー、ZEROは4/39がヒールトリガーだ。

速攻展開V殴りプランはこのヒールトリガーにかなり崩されやすい。
更にもう一つの大きなルール変更もこのゲームプランを抑制している。



ドライブチェックが手札に加わらない

 

・ドライブチェックでめくったカードはトリガーであればドロップゾーンに、それ以外は山札の下に送られます。


これとんでもない事で、今までヴァンガードは毎ターン1枚引いて、殴ったら1枚めくってそれを手札に加える。G3ならツインドライブなので2枚めくって手札に加える。
それが手札に入らないという事は、リソースは毎ターン最初に引く1枚しか増えないのだ。
これは以前からなのだが、ライドというシステムは基本的にアドバンテージ的には損だ。先行5枚+1ドローから3ターン目まで毎ターンライドするとライド以外何も展開しなかったとしても先行3ターン目G3にライドした後残っている手札の数はわずか5枚だ。

こんな状態で速攻を仕掛けに行って、相手にダメージトリガーをめくられてしまったら…?
前に出したリアガードが殴られてこの世の終わりだ。

しかもこのゲームはG2を毎ターン場に展開しないと守れない。
1ターンに1枚しかリソースが増えないのにライフを守りたければデッキに13枚しか入っていないG2を2枚展開しなければならないのだ。

このゲームでG3をRに置く事はかなりリスクのあるプレイだ。
相手はRを殴る必要性が無くなるのでVに殴りに行ける回数が単純に増える。
そしてそのG3は相手からは放置されてしまうので次のターンG2を引いたら自分で圧殺するしかない。
それでも2パンよりは3パンのほうが絶対に良いのでG2が無ければ仕方なく展開するほうがベターだろう。

繰り返しになるが、トリガーをめくる事も大事だがG2を引く事も大事。キープする事も大事だ。

 

お互いがG2を2枚Rに展開し合うとどうなるか。
相手のRがいるため、Vには殴れず2体のRが相手のRを殴る。
そしてVがVを殴る。 クリティカルトリガーやスタンドトリガーがめくれなければ1点しか入らない。 ここに紙よりもめくれやすいヒールや後出し究極完全ガードが存在するので初期の紙よりも濃密な泥仕合が待っています。
ブラスターブレードでRを除去したりしてVを2回殴れたりもするのだが、基本はこの1点を巡り合う攻防が楽しめる。

 

 

G3に乗ることはそこまで重要じゃなくなった


紙の時はG2とG3には大きな差があって、仮にトリガーが出なくとも毎ターン1枚のアドバンテージ差がついてしまっていた。

だがドライブチェックが手札に加わらなくなったという事はトリガーが出なければG2もG3も差は無いのだ。

 

実際あった対人戦で4-5ターンの間G2に乗りっぱなしというゲームがあった。

 

G2でしばらく戦い続けて3ターン目くらいに、Vだと効果を発揮しないがRだと強いG3を引いたので、ライドする事が可能になった。
だが、あえてそのG3に乗らずG2を引きに行くプレイのほうが強いように感じて、私はそのG3をルーターのコストに使った。
紙のゲームなら大事故で恐らく負けるはずのゲームだったが、思いの外余裕を持って勝つ事が出来た。
G1,G2に乗れない事故は相変わらず厳しいのだが、多少ライド事故は緩和されたように思う。



最後の大きな変更としてG0トリガーの廃止だ。
代わりに13枚のG3に好きなようにトリガーを割り振る事が出来る。

クリティカルトリガーは横に振れない、完全ガードの兼ね合いから弱体化されているがスタンドトリガー、ドロートリガー、ヒールトリガーはそのままだ。

私が現在最も安定して勝てるのはドロートリガー9枚、ヒールトリガー4枚の構成だ。
前述のようにG2を毎ターン引き込むのはもちろん、完全ガードも引ける。もう一つはG3を全部返せるようになるという事だ。
G3トリガーにくっついている都合上、初手でG1,G2,G3をキープする事で安定したライドは行えるがトリガー率は下がる。
G3を引けなくとも勝てる可能性もあるし、トリガー率の上昇、G2の枚数がゲームの勝敗に直結する事、ドロー数を増やす事で戻したG3をそもそも引きやすいというのがこの構成の利点だ。
だが、相手も同じドロー9構成だとお互いにリソースが尽きないので、メタゲーム次第ではダメージレースで少し優位に立てるスタンドやクリティカルを少し増やしたほうが良いかもしれない。
 

 

山札の下に送る

 

”ドライブチェックでめくったカードはトリガーであればドロップゾーンに、それ以外は山札の下に送られます。

わざわざ太字で書いたこれ。ヴァンガードユーザーが大好きな一文です。

知らない人に説明すると、序盤で完全ガードがめくれてしまって山札の下に行ってしまった時、がっかりしますよね。
ところがドライブチェックを繰り返していくとどんどん山札の一番下にカードが貯まって行き、記憶さえしていればその内山札の順番が分かるようになるのです。

10回ドライブチェックをしたデッキの枚数が残り11枚なら、デッキトップのカードは見えてないけど、言い当てる事が出来ます。
それがトリガーなのであれば、本来はパワーが足らず、攻撃が通らないG1を前に出すプレイが可能になったりします。

残念ながらトリガーはめくれるとドロップゾーンに落ちてしまうため、基本的にはトリガーを仕込む事は出来ないのですが、必要に応じてG2や完全ガードをドローしに行くプレイは出来ます。


基本的には紙のほうがZEROより難しいと思うのですが、ZEROのほうが難しい点が一つ、明確にあります。
相手の山札の下もこちらが把握出来るため、究極的には相手のデッキの順番まで覚える事が可能になったのです。

お互いのデッキの順番を全て覚える事が出来ていたら、運ゲーと言われているヴァンガードから他のDCG/TCGでも類を見ない詰将棋ヴァンガードがはじまる。

 

シャッフルの罠

 

山札の下に非トリガーが貯まる都合上、山札をシャッフルしてしまうとせっかく下のほうに固まっていた非トリガーがデッキのいたる所に混ざってしまい、トリガー率が下がってしまう事もしばしばあります。

紙のほうだと騎士王アルフレッドのスキルで山札にあるブラスターブレードをスペリオルコールする効果は山札の非トリガーを減らして16/49を16/48にする、手札を使わず場も増えて、トリガー率も上がる最高の効果だったのですが、4回のドライブチェックで4枚非トリガーが山札の下に行った後にスペリオルコールすると13/35のトリガー率が13/38に上がってしまいます。

が、逆に序盤で下に行った完全ガードを戻せるメリットもあるのでここも一長一短。

 

シャッフルが入ると前述した山札の下に行ったカードは全てリセットされるため、1から覚え直しです。ベストなプレイを求めるのであれば中々過酷なゲームです。

 

糞カードが輝く

 

ゲームのシステムが変わったという事はカードの評価も大きく変わる。

独断で当時はパッとしなかったがこの世界で光り輝いているカードを紹介しようと思う。

孤高の騎士ガンスロッド

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G3にトリガーが付けられ、G2を多めに引きたいゲームシステム。
トリガーをデッキに戻しつつG2を引き込めるこのカードはあまりにも欲張り。

 

封竜 ブロケード

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G2のインターセプトが守りの要になるゲームでこのテキストはめちゃくちゃ強い。
効果自体は強いのだが、かげろうの特色である除去やオーバーロードとの相性がそこまで良くない事と、ダメージを与えていくとVのパワーも上昇してしまうので結局Vに殴れずRを殴らざるを得ず、テキストをそこまで有効に発揮出来ない事もある。

 

ブレイジングフレア・ドラゴン/勝利の化身 アリフ

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懐かしのスペリオルライドギミック。
パーツが3枚必要で滅多に揃わず、その割にリターンもそこまで大きくなかったので当時はあまり使われなかったのだが、FVにガトリングクローと槍の化身ターを設定する事が出来、ライドしたらRにコールする事が出来るので必要なパーツが実質2枚になった。
更にデッキ枚数が40枚になった事で残りの2枚のパーツも引きやすくなり、スペリオルライドに成功した後も1ドローのおまけが付くようになった。

 

かげろうはG3がこの2種に加えて、ブロケード、ドラゴンモンク ゴクウ、ドラゴニック・オーバーロード、ボーテックス・ドラゴンと多様でデッキを組みやすいのでおすすめです。


トランスライザー

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初期のカードではないが、なぜか収録されているカード。
でも使ってみると収録された理由もよく分かる。
紙のほうだとG0が16枚固定、G3は約8枚入っていたので当たる確率は約半分だ。
おまけに7000というパワーだと8000ブーストを付けても15000で11000に5000ガードで防がれてしまう事からあまり活躍したカードでは無かったと思う。

ところがヴァンガードZEROではハズレはG3の13枚のみなので、当たる確率は2/3だ。
7000という心もとないパワーに変わりないが、基本はRでRを殴るゲームなので相手の10000のRに対して5億で殴ろうが、15000で殴ろうが変わらないのだ。

CB2で1ドローや1枚スペリオルコールするカードが強いこの環境で何のコストもかけずに無から1アドを生み出せるこいつはヴァンガードZERO界の強欲な壺。

 

ラクルガーディアン アポロン

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アタックがヒットした時 というテキストは正直強くなかったのが紙のヴァンガードだ。
ガードをするタイミングが選べたのでそのテキストを持ってる相手を止めて、持ってないカードの攻撃を受ければ済む話だった。

ところがこのゲームは基本的にヒットを止める事が出来ない。
完全ガードの発動条件を満たしていたとしても、Rを殴れば発動する。

狙って発動させる事の出来るCB2で2ドロー、手札のトリガーをデッキに戻すという効果はあまりにも強力。

 

課金と周回

 

既存DCGとは違い、リセマラしてカードを砕いて一つの環境デッキを作るとか、初回に1万課金して最強デッキを作るというゲームでは無い。
かげろうのカードが欲しければ、櫂トシキを毎日叩いて素材を吐かせる必要がある。
こう聞くと非常にだるいゲームに感じるかもしれないが、オートファイトはもちろん、クイックファイトという神システムも存在する。スタミナだけ消費して自動で勝った事にしてくれて報酬も実際のプレイと同じ数だけもらえる。

ちなみにCPUのデッキは最強なためオートファイトは当然の事だが、自分で操作しても負ける事はかなりよくあるのでクイックファイトはノーリスクハイリターンです。

クイックファイト機能は最初は使用する事が出来ないが1日2日軽くやればある程度使用出来るようになるはずだ。

 

ソロプレイモードを中心に進めているのだが、石はぽろぽろもらえるし、ランクマも毎シーズンかなりの石がもらえそうなので課金圧は販売ペースにもよるが言われてるほど高くは無いと思う。

 

カードオタクなのでゲームシステムとテキストについてしか書いていないオタクの文章になってしまったが、アイチくんがLive2Dでぬるぬる動く姿はなんかすげぇってなるし、当時のオープニングが流れたり、過去のアニメをを準拠にしたストーリーモードが約50話もあり懐かしさに浸れるのでカジュアルに遊んでも楽しめると思う。 クラン格差も今の所無いよ!みんな強い!

 

ヴァンガードはダブクリ3点!完ガ持ってなかったら勝ち!!!っていうすごく簡単な勝ち方が出来る反面、デッキの順番を把握しきって、相手は次にこのカードを引くのでこれを除去してここはあえてドローは使わず次でドローする事で完全ガードを引いて~みたいなヲタクメガネクイックイップレイの両方が出来るのが魅力です。

 

興味があったけどルール変更や課金周りで敬遠していた人は是非一度触ってみて欲しい。

 

追記

キャラファイトのベリーハードはヴァンガードZEROで最も躓く箇所だと思うので攻略記事を書きました。

hamutarotcg.hatenablog.com